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運転中に交通事故を起こしてしまった場合、加害者はどうしたらいいですか? | 法友全期会|若手弁護士の「部」を越えた連合体

法律・事例解説EXPLANATION

交通事故の事例

運転中に交通事故を起こしてしまった場合、加害者はどうしたらいいですか?

公開日:2016年07月21日(木)

運転中に交通事故を起こしてしまった場合、加害者がとるべき応急措置は以下の点がポイントになります。

  • 直ちに車両の運転を停止し、負傷者を救護する。
  • 道路における危険を除去する。
  • 警察に事故発生の日時や場所を報告する。
  • 加入している自動車保険の保険会社に事故の報告をする。
  • 事故状況についての証拠を収集する。

このうち(1)から(3)は、道路交通法(72条1項前段)に定められた法律上の義務です。(4)自動車保険に加入していれば必ず報告して下さい。その上で、(5)後の争いを避けるためにできる限り証拠を収集して下さい。

解説

負傷者の救護義務
事故が発生した場合、直ちに運転を停止して、事故の内容や状況を確かめて、車両やその他の物に対する被害がないか、相手方運転者や歩行者に怪我がないかという被害の有無を確認しなければなりません。
負傷者がいれば直ちに救護して、必要に応じて救急車を要請したり、近くの病院へ運び込んだりなど、現場の状況に応じた最善の措置を尽くす必要があります。たとえ傷が軽いから救護の必要がないと判断しても、被害者を放置して現場を立ち去ってしまうと、いわゆる「ひき逃げ」として刑事罰を科せられる可能性があります(道路交通法117条)。
みずから被害者を医師の治療を受けられる状態に置くか、救急車が来るまで付き添うなどして、決して事故現場から逃げてはいけません。

道路における危険の除去
事故現場は警察官が急行するまでは現状のまま保存しておくことが望ましいですが、事故車両が通行の妨げになっている場合には、更なる二重事故が起こらないように安全な場所に移動させ、積載物が道路に放置されているような場合には、障害物を他の場所に移動させる等して、道路における危険防止措置をとらなければなりません。 なお、やむをえず警察官が来る前に、車両や積載物を移動させる場合には、事故現場の状況を写真や動画で撮影するなどして記録をとっておくことが有用です。

警察への報告義務
事故を起こした運転者は、物の損壊を伴う物損事故であっても、人の死傷を伴う人身事故であっても、警察官に対して直ちに事故を報告する義務があります(道路交通法72条1項後段)。報告の方法は、110番通報して警察官が現場に急行するのを待って報告します。

報告する内容は次の5点です。
・事故が発生した日時と場所
・死傷者の数と負傷者の負傷の程度
・損壊した物と損壊の程度
・事故車両の積載物の有無
・事故について講じた措置

警察への報告は法律上の義務であり、後日、交通事故の発生を証明する交通事故証明書の交付を受けるために必要ですから、必ず報告して下さい。警察官には曖昧なことを言わずに、主張すべきことははっきり主張しましょう。
なお、交通事故証明書は、交番で申請書を受け取ることができますので、必要事項を記入して手数料(540円)を郵便局で支払えば取得できますし、インターネットで申請して取得することもできます。

険会社への通知
自動車保険に加入している場合、直ちに任意保険会社または保険代理店に連絡して、事故発生の日時と場所および事故状況を報告します。保険会社は、事故現場で何をしたらよいかを指導してくれます。
なお、正当な理由なく保険会社への通知をしなかった場合には、保険金の支払が拒絶されます。人身事故の場合には、事故発生から60日以内に書面による通知が受領されないと、事故による損害に対して保険金が支払われないことがあります。

証拠の保全収集
事故の発生状況は、加害者の刑事責任や民事責任を決定する上で極めて重要であり、後に争いになったときに事故現場で収集した動かぬ証拠によって責任の有無や程度が決せられることも少なくありません。
そこで、事故直後ないしできるだけ早い時期に証拠の保全収集を行うようにして下さい。
まず、相手方にお伺いしてお願いできるのであれば、運転免許証や車検証などを見せてもらい、相手方の氏名、住所、連絡先および相手方車両の登録番号などを確認してメモしておきます。相手方も自動車保険に加入している場合には、保険会社及びその連絡先、証券番号、契約者を確認してメモしておきます。
この際、相手方は被害者ですから十分誠意を尽くしましょう。不誠実な対応は、後に示談の話し合いがスムーズに進むことの妨げになります。 また、携帯電話のカメラ機能で、写真や動画を撮影して、現場の道路状況、交通量、衝突地点、車両の停止位置、破損状況、道路上のスリップ痕、血痕、破片の散乱状況を記録に残しておきます。
事故の目撃者がいる場合には、氏名、住所、連絡先、目撃内容をメモしたり、話している状況を携帯電話で録画・録音しておくことが有用です。

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